第9幻界

数十年前¹⁾に発見された第9幻界で大規模な移民に向けた開発を始めたヒューマンたちは、そこで先住種族と遭遇した。肉体的に大変頑強な彼らに対し、対峙したヒューマンの反応は様々で、武力をもって従え労働力として使役させる者、一定の人権と文化を尊重し共存しようとする者、一切の関わりを持たず彼らの文化圏の外でのみ活動する者etc…。 結局、外見からフォーヴと名付けられた彼らに最も支持されたのは共存の道であった。彼らに、そして共に移り住んだヒューマンたちに愛されたのは、互いを尊重し、互いに情報を行き来させる懐の広い領主であったという。

フォーヴについては、実はあまり詳しい事が判明していない。体力や筋力に優れるが魔導力は逆にあまり備えないこと、他種族との混血が可能である事から、ヒューマンを源流とし第9幻界で独自に進化した種族であるという見方が優勢である。

平たく言えば獣人で、毛に覆われた大きな耳と全体的に筋肉質な身体が主な特徴。その為野獣（フォーヴ）と呼ばれるようになった。髪や耳毛は概ねヒトあるいは獣として常識的な色で（青だの紫だのはまずない）、瞳も概ね自然界に存在しうる色をしている事が殆ど。

劣悪な環境にとても強く、単純な適応力は高い種族である。但し本質的に「常に全力で生きて行く」種族の為、寿命はヒューマンよりは若干短め。また、遺伝的に極めて劣勢で、どの種族との混血でもフォーヴとしての特徴が耳にしか出ない、欠点しか出ない、あるいは全く出ないというケースが極めて多い。

魔導力があまり高くない種族。ソーサラーとして認定されるケースは極めて稀で、いたとしてもレッドソーサラーが殆ど。それも、素の筋力が高すぎる上に本人に自覚がない為スーパーストレンジと明確に区別できず見過ごされているケースが多々混じっている。 他種族との混血であればその種族の傾向がある程度出る為、見た目はフォーヴでもそれなりの魔導力を持つ場合もある。この場合は筋力がヒューマン程度に落ちている。

比較的常識的な色の頭髪²⁾。
頭髪と同じ色の被毛のある、獣様の耳。混血具合や細分種族によって、頭頂付近にあったり人間と同じ位置にあったりする。但し比較的ヒューマンに近いタイプの細分種族や混血が進んでいる場合はヒューマン様の耳であることも。
若干がっしりした体型。フォーヴの血が濃い程寸詰まる傾向はある。

ヒューマンに遭遇するまでは独自の文化を有していた。その名残が残る一族もおり、姓名を持たぬ個体、小動物や昆虫を捕らえて食す個体も見られる。 ヒューマン文化圏に長く住んでいる一族はあまり文化上の特異点はない。